- 昼から梅田。ディスクユニオンでクレンペラーの《ヴァルキューレ》第一幕のCDを買う。夕方から新開地のシネマ神戸でリドリー・スコットの『ナポレオン』をようやく見る。トゥーロン攻囲戦や、エジプトでミイラと遭遇したりワーテルローで負けて英国の軍艦でステーキ食いながら士官候補生のガキどもに能書きを垂れたり、「百日天下」のパリへの進軍がトランピアン大集会みたいになるところとかくだらなくて面白いところは少なくないし、ヴァネッサ・カービーのジョゼフィーヌだって決して悪くないのだが、リドリー・スコットでさえナポレオン戦争の合戦はこんな感じでしか撮れないのかと思う。どうせ帝国の戦争を描くことができないなら、戦の帰趨こそ新聞のポンチ絵に任せて、得意の狭い空間での決闘劇に絞り、インペリアル・ベッドルームでの、妻や愛妾たちとのセックス戦争を徹底的に描いて、家父長制下におけるナポレオン・ボナパルト氏の焦燥と傲慢を描いたほうが面白かったのではないか、って、それがキューブリックのやりたかったことか。