• イスラム国の連中が、美術館に収蔵されていたアッシリアの彫像などを、ハンマーや砕石機で破壊している映像がニュースで流れている。夜中にネットでわざわざ検索して、彼らによって演出たっぷりに殺されるジャーナリストの映像を、こそこそとみたときより、妙なことに、ショックが大きい。
  • イスラム国産の処刑映像からは、その端々から彼らが、私たちと同じカルチャーにどっぷりと浸かってしまっていることがどうしようもないほど滲み出している。彼らの出自が露わになっていると云ってもよい。しかし、この美術館での、ぶっきらぼうに撮られた収蔵品の破壊のシークェンスが示しているのは、彼らにはこれらの美術品が、勿体ぶった演出を施しながら破壊を撮影する価値もなく、売り飛ばして換金するということさえ厭わしいものであると思っているらしいことだけである。ティム・バートンジョーカーが美術館の泰西名画に片っ端からペンキをぶっかけてゆくが、フランシス・ベイコンだけは残してみせる、趣味の良さ(または悪趣味)を示すためでさえない。そこに、じぶんたちより先に存在しているものを根絶やしにすることが、じぶんたちの存在してゆく場所を、新しく作ることだと信じているのだ。彼らは、これみよがしの不遜さだけでできている革命家である。ああいう連中が、私は本当に嫌いだ。