• ゲラ、やはりそのままにしておくことにする。ゴダールが「もっとも、私はいつも、映画は私を助けてくれると考えていました」と、混迷のときであってもおそらく堅信していたであろうことは、ジガ・ヴェルトフ集団の解散後にも訪れる、盛んな作品群を見れば判るだろうから。
  • 最初のスピルバーグ論集に書いたときは、もし私以外の誰のスピルバーグ論がひとつも残られなくても、スピルバーグの映画の可能性と射程の広さはこれさえ読めば判るように、何もかも全部書き込んでやろうと思って、最後の最後まで調整した。しかしあれは、もう二度と映画批評の執筆の依頼が来なくてもこれでいいと思えるようにしていたんだろうなと、今は思う。何万字を書こうがそれが本当に面白いと思えるなら載せることのできるインディペンデントな雑誌を同人の皆でやっていることは、とても心の平穏を齎す。