• 今朝も「しま」はいつの間にか寝室にやってきていて、窓際で眠っている尖った耳の先がふたつ、その下で寝ている私には影絵のように見える。「しま」とふたりで柚子より先に起き出して、あんぱんを食べて、お重を引っ張り出してきてお節を突く。TVでマキノ雅弘の『九ちゃん刀を抜いて』を見る。
  • 午後から写真でも撮ろうかと家を出る。出かける前に、隣家の間の狭い庭に植えた紫陽花やら何やらが伸び放題に伸びているのを、斜め前の家のおばさんが教えてくれたのを思い出して、園芸鋏を持ち出して、ばさばさと伐ってゆく。硬い枝があって無理に力を入れて伐ると、鋏の握りが折れて、親指の腹を深く切ってしまう。ぴりぴりと痛い。
  • 新今宮まで出て、電気屋街のほうまでぶらぶら歩いて、もう開いている古本屋を覗いてゆく。『ユリイカ』の1989年の臨時増刊「ヌーヴェル・ヴァーグ30年」が安かったので買う。上野昂志の大島渚インタヴュがよく纏まっていてよかった。『ハリウッド・ゼン』が実現しなかったのはやはり残念だ。ミルクマン斉藤氏が亡くなられたとの由。20世紀の終わり頃その映画を選ぶ眼や短評にとても影響を受けた。広告屋の頃に試写会で会うようになって、名刺を交換したときはミーハーなので嬉しかった。あの巨体にママチャリで試写室をハシゴしておられた。ご冥福を。