柚子と買物。

  • 昼過ぎ、「しま」が柚子の蒲団のなかで眠っていて、柚子は、私の蒲団の上で横になり、じぶんの蒲団のなかに手を挿し入れて「しま」のお尻を触りながら、眠っている。その横で、弟から借りたヤマシタトモコの『HER』を読む。初めて読む漫画家。
  • 何か、じぶんの裡でモヤモヤしていることに、ぱっと言葉を与えることができると、そのモヤモヤが解消されたと感じるときがある。しかし、その言葉こそが、モヤモヤの正体を隠蔽してしまうこともある。つまり、その場合、もっとモヤモヤしているべきだったのである。少なくとも、言葉になって現われたものを、さらに言葉で煮詰めることをするべきだったのである。この漫画に於ける男や女の造形や、彼らが作中で至る理解は、ちょうど、この最初の結晶化の地点、モヤモヤがすっきりと解決された(ようにみえる)言葉の段階に留まっている。
  • 私たちが抱えるモヤモヤは、総て違うかたちをしているだろうけれども、何処か似たところがある。しかしそれは、ずっとずっと深くまでおりて、初めて云えることだろう。すっきりした言葉は、さらに深くおりるための穴に蓋をしてしまうことだってある。この漫画にも現れているそういう言葉や表現は、軽い痛みどめや、モヤモヤから気を紛らせるのには使えるだろうし、だからこそ共感が拡がる範囲も大きいだろうが、其処から進んでじぶんの裡に潜ることを、さらにモヤモヤすることをやめるために使われるのなら、殆ど意味がない。
  • ジョナサン・ノットの振るマーラーの《第九》を出してきて、聴く。
  • 柚子がちょっと疲れているふうなので、荷物持ちとして、近所のスーパーまで自転車でふたりで買物へゆく。
  • 帰宅して、東村アキコの『主に泣いてます』の第2巻と第3巻を読む。第2巻で本妻が出てきて、いきなりすっ飛び始める。