『トゥルー・グリット』をみる。

  • 大荒野を往く追跡劇なのだが、広い空間をずっと横切ってゆくというよりも、古くて大きなホテルのひと部屋ひと部屋を経巡ってゆくような、云わば、ひっそりとした室内劇のような印象を受ける。
  • ジェフ・ブリッジスを筆頭に、役者たちが皆とても愉しそう。出てくる馬たちが、何か特別な顔をしているというのではないけれど、ぴりっとした野趣があり、美しい。ロジャー・ディーキンスキャメラは、まるで、上映中の映写機の光の前に人形を置いてあるような、物としての厚みをどっしりと感じさせる黒々とした影を、画面に定着させている。蛇の出現ぶりに、ふとスピルバーグを思い出すが、映画が終わると彼の名前が出てきて(製作総指揮なのを知らなかった)ちょっと笑う。