抜糸とリゲティ。

  • 朝起きて、柚子を見送り、きょうも五枚組のリゲティの作品集を一枚ずつ聴いている。リゲティを纏めて聴くのは久しぶりだけれど、とても素晴らしい。細部の運動がそれぞれくっきりとみえる大きな混沌とでも云うべきか。
  • 11時からリハビリに行き、その後レントゲンを撮り、執刀医による診察を受ける。経過は大変良好とのこと。抜糸をすることになる。抜糸とは云うものの、実際は、縫合の糸の代わりに、手術の際の傷口を留めていたホッチキスの弾をプチ、プチと取ってゆくのである。針でちくりと刺されるような小さな痛みが十数回。水泳はいつ頃から再開してよいかと医師に訊ねると、三ヵ月後とのこと。十個のボルトで留めている骨がくっつくまでにだいたい十週間かかるそうである。「今、無理をしたら絶対ボルト外れるで」と、おまえ、おれがめっちゃ丁寧に時間かけた手術を台なしにする気ちゃうやろな、という表情で苦笑しながら医師が云う。
  • 柚子に抜糸が終ったのを連絡して、ちょうど昼飯時だったので、病院の近くにある、以前いちど柚子と行った店で、バジリコとトマトのふたつのソースのスパゲティと、大蒜のたっぷりなブルスケッタを食べて、郵便局に寄ってから帰宅する。
  • やはり、ずっとリゲティを聴いている。
  • 足元にやってきたので、ひょいと抱き上げて、延びて鋭くなってきている「しま」の前足の爪をぱちぱちと切る。
  • 柚子が帰宅して晩御飯をつくってくれたのを一緒に食べる。食後、そのまま居間で転寝してしまう。柚子にいちど起されるが暫く眠る。私の横で、とても気持ちよさそうに眠っていた「しま」を抱き上げて寝室に運び(たいへんな迷惑だ!と彼女は思っていたに違いない)、私も蒲団で眠る。