ものすごい化物だ、蕭白。

  • 二度寝しながら10時半、起床。昼から柚子とふたりで、京都国立博物館の特別展「曾我蕭白*1に出掛ける。
  • 久しぶりに、絵を見てぐったりと疲れた。兎に角、絵の総てが、凶暴。過剰。「えげつない」と云う言葉がぴったり。波の描写ひとつにしても蕭白は、同時代の円山応挙が最小限の線で描くところを、恐怖を感じるほど明るくてゴージャスな「群仙図屏風」を例に挙げれば、細かくて強い線をぐりぐりうねうねと重ねて描く*2。卑近な例で云えば、それはつるぺた萌え絵と、オヤジ週刊誌のエロ劇画ぐらいの違いがある。
  • 応挙は、仔犬を可愛く描くことの天才だった。そして蕭白は、カエルを可愛く描くことの天才である。「和漢人物図押絵貼屏風」のなかの蝦蟇仙人を描いた一幅を見よ。まるでポケモンニョロゾのようなデフォルメされたカエルが、仙人に釣られて、ぴょこぽん、と踊っている。あまりの可愛さに、絵の前で悶絶すること必至である。蕭白は、よっぽど蝦蟇仙人と云う画題がお気に入りだったらしく、この展にもあちこちで出品されている。先述の「群仙図屏風」の蝦蟇仙人は、犬ほどの大きさに膨れた白蝦蟇を乗せながら、美女に耳掻きをしてもらって脂下がっているし*3、頭の上に蝦蟇を乗せ、それを上目遣いで見ながら「オマエ、ホントカワイイナァ。デヘヘヘ」と笑っている図*4もある。そのどれも傑作であった。他にも、目玉が驚愕する絵が犇いていた。
  • 柚子も私も蕭白の迫力に、ほとほと参って、京都を散策することもせず、笹巻き麩饅頭だけ買ってそそくさと帰宅。「漫画家で例えたら、赤塚不二夫永井豪を混ぜると蕭白になるかな」と私が云うと、柚子が「赤塚不二夫楳図かずおじゃない?」と云う。成るほど、そうかも知れない。まぁ、そんな程度では収まらないけどね。目録も恐ろしく充実していた。5月15日まで。ゲテモノ好きは、必ず見るべし。
  • しかし、蕭白に絵を注文していた連中は、どんな奴らだったんだろう。とても気になる。