三本立ての日

  • 柚子は調子が悪く朝から耳鼻科へ。その間に独りで、ケン・ラッセルBBC時代の代表作『ソング・オブ・サマー』を観る。ディーリアスの最晩年を描いている映画だが、若さが満ち充ちている。そしてケン・ラッセルは、ずーっとケン・ラッセルだったことが良く判った。
  • 柚子が帰宅後、昼食を取る。それから一緒にダニエル・シュミットの『ヘカテ』を観る。第一次大戦後、オクシダントからオリエントに赴任してきた若い外交官の男の嫉妬心を精緻に描く。総ての画面で、光と影と色彩の設計が素晴らしい。まさに眼福。
  • 今日の飲み会、柚子は結局出掛けられず。梅田行きの電車に乗った後で、不測の事態により飲み会は中止となる。
  • 参加者のひとりだった弟を拾って、三番街シネマでスピルバーグの新作『宇宙戦争*1を観る。他の映画館が満席だったので、吹替版にて見物。思っていた以上に、原作の挿話やら持ち味が活かされている。火を吹きながら爆走する列車やトム・クルーズダコタ・ファニング演じる娘を別れた妻の許に送り届ける最後のシーンの妙なほの暗さなど、何とも云えない不穏な情景に満ち充ちた映画で、充分によくできた佳作。キャサリン・ゼタ・ジョーンズが出ていなくても、これは最近のスピルバーグの映画のなかでは、私は断突で好きだ。もう一度、観に行こうと思う。
  • 駅まで歩きながら弟と話す。火星人の死滅する理由がショボかったと愚弟がのたまう。『宇宙戦争』なんだから、あれ以外にどんな解決法があるんだと反論すると、ンなの知らねぇと云う。嗚呼、サブカルミームも死滅寸前だ!
  • 堂山町のツタヤに寄ってヴィデオを返却し、久しぶりにバスビー・バークレーの振付が観たくなり『四十二番街』を借りてくる。