恥を知る

  • 夏休み初日。
  • 朝食は抜き。諸事情から要請されて、保健所へ健康診断を受けに行くためである。それは会社で受けるものだと云う現実をお持ちの方は幸福だ。私が勤める会社は、健康診断を受けさせる義務を、貧乏を理由に怠っておるのだ(苦笑)。血液検査は行わなかったが何処も悪い処はなく、糖尿の心配も払拭され、ほっとする。
  • 実家の近所の散髪屋に。髪を切ってさっぱりとする。ちょっと実家に立ち寄る。
  • 三宮に出る。健康診断の折、眼鏡の度数が全然合っていないと云われたので、新しい眼鏡を作る。二軒目に入った店で、ぽんと気に入ったフレームをいきなり見つけたので、すぐに検眼して作ってもらう。
  • 仕事を退けた柚子とモスバーガーで夕食。柚子はナン・タコス、私はマスタード・チキンバーガーのそれぞれオニポテのセット。食事の途中で、以前とある筋から依頼されて途中で頓挫した企画の話になり、それは表面上は円満に解決したのだが、私の内部では不満や鬱憤が抑圧されたまま大量の毒ガスを発生させていたようで、大爆発を起こす。付け加えるが、その頓挫した企画に柚子は一切無関係だ。しかし彼女はよい聴き手なので、私の中の鬱屈が千載一遇のチャンスを捉えて、その憤懣をぶちまけるべく大いに語りだしたのだ。
  • しかも私は、じぶんの言葉や理性が感情のケツを叩いてまわり、ますます激化させてゆく迷惑なタイプだ。一気に昂ぶり、制御不能に陥る。外からはいつもの鬱の状態と見分けがつかない状態になる。柚子への気遣いができなくなったまま、店を出て、帰路に。
  • ふたりで自転車を漕いで帰る道で、前を走る柚子の背中を眺めながら、ようやく内部の昂ぶりが鎮んで、じぶんが日頃、柚子のことをずっと考えていることに気づく。いつも空気のように満ちている常態が崩れたときにしか、常態を発見することができないじぶんの感受性の鈍さが悲しい。
  • 帰宅後、そんなわけで恥ずかしくなって柚子と顔を合わせられず、自室に引きこもったまま、『ベルばら』の続きを読む。ああ、なんてオスカルは可愛くていい女なのかしら! 激しく萌える。