ホットケーキに政治と宗教は御法度

  • 朝食の席で、宰相小泉の「改革」路線に或る程度の評価を与えた柚子をひどく論難する。罵倒したと云っても云い過ぎではない。私は、小泉氏は政局の折々に於ける、じぶんの姿に酔っ払っているだけで、些かの政治的達成も成し得ていない。だから彼に今後、日本の舵取りを任せるのは止めるべきだと思っていて、この判断には自信があるが、しかし今朝の私の柚子へのブッチギレな態度は非道かったと、のちのち後悔する。政治と宗教と性交の話は食卓ではするべきではないと云う古人の教えは、成るほど正確だ。
  • 柚子が出掛けたあと、倉多江美の『お父さんは急がない』と『続お父さんは急がない』を一気に読む。倉多江美の漫画は昔から大好きなのだが、何でこんな面白いものを読まずにいたのか! じぶんの不明を恥じる。
  • 午後過ぎから実家へ。選挙に出掛ける。
  • その後、母方の祖母の見舞いに病院へ。ベッドの上で、祖母はすっかり小さく縮んで眠っている。寝巻きの袖から覗いている腕の皮膚はかさかさしていて、骨と皮だけと云う言葉が、ぽかんと脳裡に浮かぶ。やがて祖母が目を開いて、ぼんやり私を見る。すぐに私だと判ったようで、私の名前を呼ぶ。その後、「アンタのお母さんにはいっつも良ぅしてくれるねん」、「元気でやりや」、「アタシはもうアカンわ」の三つを繰り返しては、短く眠る。
  • 夜、やはりと云うか何と云うか、自民党は記録的な大勝。ひどく憂鬱。これで小泉氏はますます、おのれへの酔いを深めてゆくことだろう。先日読んだ『銀河ヒッチハイク・ガイド』の中に、こんなエピソードがある。
  • 或る日、地球をヴォゴン人の土木作業船団が訪れる。彼らは地球を2分以内に破壊し、其処に銀河系バイパスを敷設するのだと云う。人間はヴォゴン人に、「いきなりやって来て、他人ンちをぶっ壊そうだなんて非道いじゃないか!」と抗議するが、ヴォゴン人は「50年も前からアルファ・ケンタウリの土木建設課に計画書は掲示しておいた。充分に異議申し立てする時間はあったはずだ」と云う。しかし、人類はそんな場所には行ったこともない。するとヴォゴン人は激怒して「はァ!? なんで4光年しか離れていない場所に行ったことがないんだ!? じぶんの住んでる宙域の出来事に注意を払っていなかったオマエらが悪い!」と、邪魔な地球をさっさと破壊してしまう。しかしちょうどその頃、無限不可能性ドライヴの亜空間宇宙船が完成して、ヴォゴン人の宇宙ハイウェイは、まったくの無用の長物と化してしまうのだ。
  • 私たちの宰相はヴォゴン人である。