夜の猫の秘密

  • 駅から拙宅までの帰り道の途中で、門柱に座っている猫がいて、いつも挨拶するとニャーと鳴いて、その後はぐりぐりと撫でさせてくれるよい子なのだ。今夜もぐりぐりしていると、飼い主の伯父さんが出てこられてお話をする。毛並みもよく、表情もはっきりしているので(しかも童顔なのだ)、まるでそんなふうには見えないのだが、この猫ちゃんは既に齢二十に達していることや、以前、飼い主さんがマンション住まいだった頃、夕食時になると各部屋を訪問して御相伴に預かるヨネスケみたいな野良猫だったこと、飼い主さんちの晩ごはんがいちばん旨かったのか、そのまま居着いて、引越先にも着いてきたことなど、驚愕の半生を教えていただく。あんまり嬉しくなって、柚子にそれを伝えようと勇んで帰宅するが、せっかく飼い主さんに会ったのに、私たちのあいだでたびたび話題にのぼっていた肝心の問い、あの猫は牡なのか牝なのかを尋ねなかったことを思い出して……orz