- 朝、二度寝から目覚めるとゴミ棄ての時間が終わっている。慌てて起き出して近所のゴミ置き場を覗きに行くとまだポリ袋の山。取って返し、先週出し忘れたのも含めゴミ袋を三つ抱えて玄関を飛び出そうとした刹那、まさに破れ鐘の如き巨きな音を近所中に響かせて、入口の脇に据えてある陶器の分厚い傘立てが砕け散る。
- ゴミ袋に、傘立てに挿した一本の傘の骨の先が引っ掛かって、そのまま、ぐいと土間に向けて引っ張ってしまったようだ。呆然。
- あとで、あの傘立ては柚子が引越のときに当時の勤め先から贈られたもので、気に入っていたことが判明するが、そんなことは知らず、兎に角、ゴミ出し……。
- 午後から最寄の税務署に、昨夜柚子が作ってくれた確定申告の書類を出しに行く。
- 夜、柚子が帰宅してから、昨日「ラジャ」から持ち帰ったタンドリーチキンと白身魚と、柚子が用意したホウレンソウのカレーを食べる。
- 真夜中に、ミシェル・ゴンドリーの『エターナル・サンシャイン』をDVDで観る。フロイトの「快楽原則の彼岸」を原案にしたような映画だった。ジム・キャリー(四歳)が「フォルト/ダー」遊びをしているのは偶然ではない。私たちは大人になっても、その遊びをし続けているのだ。
- CG処理された映像こそが、私たちのリアルな映像になりつつある。
- 私たちの記憶は常に廃墟である。