そして批評は殺すな

  • 父が朝イチの新幹線で出掛けてしまったので、少し眠り、昼前までTVを観ながらダラダラしてから戸締りをして、外へ出る。
  • ぶらぶらと幡ヶ谷のインド料理屋「チラグデリー」へ。ランチを頼むとバイキングだった。インド料理店でこの形式は初めてで、少し驚く。ベジタブル・カレーとデザートのヨーグルトが旨かった。
  • その後、ぼやぼやと地下鉄に乗って「浅草観音」へ参拝に行き、夕方まで界隈をぶらぶら。新世界みたいで、妙に落ち着く。寄席が多いのがうらやましい限り。
  • 夜、新宿ルミネ1の「テスタ・コーダ」で、畏兄南波克行氏と夕食を*1
  • 嘗てエルンスト・ルビッチの映画祭が東京で行われたとき、それはちょうどヴェンダースの『夢の涯てまでも』が公開され、ヴェンダースは終わったとあちこちで宣言されていた頃だったそうだが、『天使』の上演前に蓮實重彦が短い講演を行い、その場所に南波氏もいて、「そのとき蓮實重彦は、ルビッチは同時代の批評に殺された作家だった。同時代の批評は彼をきちんと評価することができなかった。いまルビッチを観ると云うことは、批評が、やはり同時代の作品を殺していると云うようなことが、いまも起きているのではないかと確認することでもある、と、こんなようなことを云ったんです。それで、ああこのひとは少なくとも映画に対しては、とても真摯だと、思いましたね」。
  • 南波氏が取り組んでいる「ロン・ハワード論」*2は、だれもがすっかり知っているような気になっているが、じつはまるで知られていないロン・ハワードと云う映画作家を丁寧に再見して、其処からさらに、アメリカとアメリカ映画を貫く地下水脈に触れようとしている批評の営為であるが、その情熱の源のひとつに、触れた気がした。
  • 坂本龍一×高谷史郎の『LIFE』インスタレーションの話になり、やはり南波氏も「こうしちゃいられない」と云う気持ちになって出られたとか。
  • バスの時間ぎりぎりまでお付き合いいただき、東京駅へ。柚子に電話を入れて、バスに乗り込む。