実家、星組『ハプスブルクの宝剣』をみる。

  • 朝起きて、柚子と私の実家へ。私の実家には今、黒猫ばかりが三匹いる。暫らくすると父も帰省してくる。今海外にいる妹以外の家族が皆揃って、おせちを開けて、雑煮を食べる。ポン酢やら鮭の切身やらを土産に持たされる。
  • そのままふたりで宝塚へ出て、二階のB席で星組の『ハプスブルクの宝剣』(作・演出:植田景子)をみる。植田は、夢とうつつの境でみる過去の記憶の断片的な噴出だとか、ポグロムから逃れてゆくユダヤの難民の群れと、それに並行して歩いてゆく主人公を真横から捉えるところだとか、ちょうど、舞台のフレームを映画のスクリーンのようにして使うのが上手で、美しいイメージを作ることに手腕を持っているのだが、どうも筋運びが、きまじめ過ぎる。それは、本邦では馴染みのないヨーロッパに於けるユダヤ人の歴史を扱っているから、とかそういうことではない(それだったら、かの皇妃エリザベートだって、最初に上演されたときは日本ではそんなによく知られた存在ではなかったはずだ)。舞台では、主人公のビルドゥングスロマンを、いわゆる魂の遍歴をやっているはずなのだが、それを劇の運動として感じ取ることができなかった。中盤のウィーンの宮廷の部分は、ばさっと短く切ってしまって、主人公の遍歴をもっとキチンとやるべきだったのではないか(藤本ひとみの原作は未読であるが)。『バリー・リンドン』や『デュエリスト』を知らぬ植田ではないだろう。
  • しかし、もしかすると私は、何か決定的に「星組的なるもの」への感応ができないと云う可能性があるのかも知れないと、嘗て星組を熱心に見物していた柚子と話をしていて(私が云うほどは悪くなかったと柚子は云うので)、ふと思ったのを記しておく。
  • ショウをみながらずっと思っていたのは、荻田浩一はやはり宝塚に戻ってくるべきである、と。
  • 三宮に出て、ジュンク堂をぶらり。
  • 帰宅して、今夜もおせちを食べる。弟からあれこれ漫画を借りてきたのだが、さっそく花沢健吾の『アイアムアヒーロー』の第2巻を読む。素晴らしい!