• ストイキツァの『絵画をいかに味わうか』から「自伝」より。

当時わたしが学んだ重要な教訓のひとつは、天国はわたしたち自身のなかより外にはない、というものでした。わたしたち東欧の知識人にとって、文化というものが意味しているのは「内的な城郭」という性格であって、そうした概念は古風でアナクロニックに響くかもしれませんが、わたしはなおもそれを完全に自覚していたのです。わたしの国では、防御は、不条理なイデオロギーからの/にたいする闘いと混同される傾向にありました。敵は二重にいたのです。すなわち一方では官僚的制度、他方では――より微妙なだけに倒錯しているのですが――選ばれたエリートに属しているという幻想です。この点では西欧の文化的活動はずっと民主的なものでした。ドイツ語であれギリシア語であれラテン語であれ、心から望めば誰でもそれを学ぶことができまし、プラトンや教会教父たち、ゲーテヤコブ・べーメやプルーストの全集も読もうと思えば読むことができます。マルクス全集ですら、本当に関心があれば誰でも手に取ることができるわけです。西欧では本というものは、東欧のように、人びとのあいだに密かに流通することで転覆的な役割すら果たすことができるものだとは、誰も考えてはいません。