『シン・ゴジラ』をみる

  • 病院に行ってからハーバーランドで柚子と待ち合わせて、本篇開始前にぎりぎり滑り込んで庵野秀明の『シン・ゴジラ』をみる。よくできていて、好きな映画ではあるが、残念ながら私にとって特別な愛する映画ではなかった。たとえば、やはり岡本喜八が出ていた緒方明の『独立少年合唱団』とか庵野秀明なら『ラブ&ポップ』が私の愛する映画。
  • いわゆる平成『ガメラ』三部作をみてからずっと、こういう『ゴジラ』がみたかったと思っていたので、ようやく映画館の銀幕でみることができて嬉しいと思うし、「この国」ポルノ(『劇場版パトレイバー2』を、灰色の空へ舞い上がる黄色い飛行船よりも、怒った犬のような顔でおっさんが怒鳴るショットのほうで、よけいに興奮するひとたちは少なくない)としても、よくできていると思う。しかしそれ以上に、庵野秀明という巨大な才能を用いて、ヤシマ作戦を撮る腕ばかり上げさせてどうするんだと、とても残念な気持ちになる。いや、そうではなくて、「私はヤシマ作戦しか撮れないんです!」とずばっとパンツを脱いだんだからこれは庵野にとってものすごく大きな一歩なんだよと説いた畏友がいるが、大きな一歩であることには同意しつつ、しかし庵野の限界に就いては、これを私は決して信じない。
  • ところでツイッターにわんさか沸いている、『シン・ゴシラ』を絶賛しない奴はクリエイタの産みの苦しみを理解できない奴!みたいなことを喚いている連中の、我もクリエイタ……の恍惚で顔をてっかてかに光らせているさまには、心底うんざりする。