日録

野村修の『スヴェンボルの対話』を風呂の中で読み終える。とてもいい本だった。新しいベンヤミンの翻訳もどんどん出るようになって、野村修のことは忘れるようになっていた。これは1971年に出た本で、1930年生の野村は40歳だ。タイトルには三人の名前が出て…

昨日の夜は聴かなかった、CDの後半に入っているライブ盤らしい『Another Day/Another Dollar』を聴いて、ようやく『Solid Gold』の面白さが判る。1stのカリカリのパンクとはずいぶん違うので戸惑ったが、この脱臼ファンクも気持ちいい。

堂山の風俗無料案内所の前を通ると、中から流れてくるポップスがとてもいい曲で、あれこれなんだったけ?と必死に考えてみたらXGの《SHOOTING STAR》だった。

昨日買った『Entertainment!』がとてもかっこよかったので、今日も閉店間際に中古レコード屋に何とかぎりぎり飛び込んで、セカンドアルバムの『Solid Gold』にEPの『Another Day/Another Dollar』が入ったCDもやはり買う。

仕事帰りにまだ開いていた中古レコード屋に飛び込んで棚をうろうろ。ギャング・オブ・フォーの『Entertainment!』のCDを買って帰る。

野村修の『スヴェンボルの対話』を読み始める。冒頭のエルンスト・ブロッホの講演の話を読んで、そういえばこのブロッホもエッセイの人だったと思う。

朝の五時過ぎに居間でうたた寝から目が覚めて、蒲団に入って眠るには遅すぎて、風呂に入る。湯船の中で西川直子の『クリステヴァ』の終わりのあたりを読んでいる。触発されつつ、次第に考えが逸れて行って、空っぽの暗がりについて、考えるようになる。それ…

私の批評を読んだ或る仏文学者から「何であなたがこれを書いたのか、その動機が判らない」という感想をもらう。批評にそんなものがいるだろうか。私の動機が何であろうが、或る作品の表面に何がしかの徴があり、それは斯くの次第で、このように読める、とい…

午後から出かける。駅前から電車に乗ろうかと思ったがまだ混乱している様子だったので、駅から家とは反対の方にぶらぶら写真を撮って歩く。雪雲が抜けたあとのすかんとした光。その分、空気は冷たくて、カメラを持つ手が悴む。帰宅してお湯で手を洗ったら、…

午後から仕事で大阪に出る。夕方、JRの駅まで戻ると大混乱になっている。いつもの倍ぐらいの時間がかかって最寄り駅まで帰ってくる。雪が降り積もっている。いちばんいい革靴を履いているときに限って天気が悪い気がするが、カメラを取り出して、あちこち撮…

ゲラ、やはりそのままにしておくことにする。ゴダールが「もっとも、私はいつも、映画は私を助けてくれると考えていました」と、混迷のときであってもおそらく堅信していたであろうことは、ジガ・ヴェルトフ集団の解散後にも訪れる、盛んな作品群を見れば判…

昨夜のうちに風呂に入ったので少しだけ遅くまで眠る。 帰宅して、ゲラを読む。最後に一行だけ引用を付け足すか、そのままにしておくかか、悩む。暗中模索の感じのままにしておくか、先にちらっと光が見える感じにするか。声に出してゲラを読んでみる。途中で…

帰宅するとマイク・ニコルズの『エンジェルス・イン・アメリカ』のDVDが届いていて、さっそく見始める。冒頭のラビのスピーチからとてもすばらしい。 夕食のあと風呂に入った。眼が冴えて夜中まで起きている。蒲団に入って眠る。

寝る前に風呂に入る。ちゃんと蒲団に入って寝る。これが難しい。どちらかになってしまう。なので、出勤前に風呂に入っている。仕事の行き帰りにゴダールの『映画史』を読んでいる。隣町の駅で降りて、桜餅を柚子の分とふたつ買って帰る。

昼過ぎ、新今宮で降りて駅前の古本屋を覗きながらぶらぶら写真を撮りながら歩く。

ゴダールの『映画史』の下巻を読んでいる。もちろんジガ・ヴェルトフ集団について書いた(考えた)あとだからこそ、というのはあるが、事典のような読み方をしていたときには引っかからなかったところがとても気になる。ゴダールによると、トーキー以前の無…

鈴木道彦訳の『ソドムとゴモラ』の上巻を読み終える。『ゲルマントの方』を読み終わったのはリヒター展を見に行った帰りに、空港へ向かうプラハの地下鉄の駅のベンチだった。今日は柚子と晩飯を食べたあと、片手鍋で紅茶を沸かしながら読み終えた。そのまま…

ゴダールの『映画史』の一巻を読み終える。そのまま続きを読み始める。

今日はトムブラウンのグレーのネクタイを結んで弔意とした。

ここ数日概ね些細なことで怒りを燻ぶらせていたのだが、ちょっと身体を動かして、二足丁寧に靴を磨いて、石鹸で手を洗ったら、何となく鎮火した気がする。 私が苛々していたからというのもあるだろう、街中のちょっとしたこと、真っ黒のパーカーを羽織った男…

午後から出かける。大阪まで出て写真を撮るつもりだったが、陽が落ちるのが早いので、こんな時間から出ていては、撮る時間がほとんどなくなる。どうせそれなりに家や建物が密集していて知らない路地があるなら同じだと、いつものように太陽を背にして、線路…

先月はずっとゴダールがらみの資料ばかり読んでいたのだが、終わってもまたゴダールで、何となく部屋に置いたままにしていた『映画史』を頭から通読している。五十代に差し掛かり、これまでさまざまな経験を積み重ねてきた自営の映画職人としてのゴダールの…

午後から出かける。私は、写真を撮るようになってから、ようやっと実感として陽が落ちる時間(写真を撮ることのできる時間)が季節で全然異なることが判るようになった。もうそろそろ夕陽に近くなっている陽光にマンションがきらきら照らされているのを電車…

「参照文献」一覧も書き加えて、年末の〆切だった原稿をようやく終える。机のまわりに積み上げていた資料の塊を一階の部屋に戻す。ホロコーストとゴダール。何か書くたびに本が増える。ぐったりとした解放感。年末にM君に教えてもらった『アワーミュージック…

何だこいつと思っていた高橋悠治にとても親切にしてもらう夢を見る。親切の内容は忘れたが、今年は他人に親切にしようと思った。朝から写真でも撮りに出かけようかと思うが原稿が終わっていないのだから無理だ。メルツバウに耳を洗われたり、fromis_9の初期…

批評って何をしているんだろう。何かについて書いているのは間違いない。でも、何でそんなことしているんだろう。見ただけで、読んだだけで終わらないのは、なぜなのか。これで飯を食っているわけでもない。ときどき頼まれて書くこともあるけれど、概ね資料…

コロナワクチンを接種して初めて熱が出た。帰宅して眠る。ずっと眠る。柚子が帰ってきて林檎を向いて小さく切ったのを小皿いっぱいにくれる。それを指先で摘まんで間断なく貪る。噛んでいると口の中で冷たくてさくさくした塊がどんどん小さくなってきて、こ…

夕方、駅前の初めて行くクリニックでコロナの三回目とインフルエンザの予防接種を一緒に左腕に受ける。隣の駅まで出て、いつもの和菓子屋でうぐいす餅を買って、店のおじさんと町田康と筒井康隆の話をちょっと。本屋に寄って帰宅する。『たのしい知識』の続…

今年は久しぶりに熱心に日記を書いていたのに、10月と11月はたった一日しか書かなかった。何もないわけではなかったのに、もう忘れている。須田亜香里のガイシの卒業コンサートは、須田亜香里のスタートとここに至るまでの総てを突っ込み、しかも最後は「出…

昨日の夜は夢を見た。明石家さんまが今住んでいるマラパルテ邸を案内してくれた。地中海の青と、この建築の赤へのさんまの敬愛が、とてもよく伝わってきた。ゴダールの『軽蔑』じゃなくて、さんまの『軽蔑』だった。 ほとんど自殺に近い死だったというJLG。…