2022-01-01から1年間の記事一覧

職場を出てから駅前のにしむら珈琲店の二階で、独りで慰労会。「おつかれさま」と呟いて甘い甘いウィンナーコーヒーを呑んで帰宅する。

シネマ神戸でシャンタル・アケルマンの『私、あなた、彼、彼女』を見る。ようやく女が部屋を出た道路脇のショットの、息をつける拡がりのありがたさ(しかしそこもまた新たな密室かも知れないという不穏さが画面の隅に潜んでいる)。部屋の中でふたりの女が…

シネマ神戸でリヴェットの『北の橋』を見る。パスカル・オジエの出てくるところは(それだけではないが)どこもかしこも最高。ビュル・オジエの「過去の火遊び」というのはおそらく1968年の不発の革命のことだろう。怪人クモ男の攻撃を受けて繭の中で眠り込…

2015年以降、今年がいちばん多くこのブログを書いている。たぶんTwitterがつくづく嫌になったことと、しかし、つまらないなりに心が動くこともあれば、それを書き留めておきたいという気持ちがあったからだろう。

新開地まで出て、シネマ神戸でジャック・リヴェットの『デュエル』と『ノロワ』を見る。『デュエル』はパリのいかがわしいダンスホールを舞台に、いきなり鏡が割れたり異能者たちの超能力バトルみたいになってゆくのは面白かったが、掴み損ねているうちにし…

IZ*ONEの《Mise-en Scène》には「ミーザンセーヌ」とそのままするっとひと繋がりに歌うところと、「Mise-en」で溜めて「Scène」でぐーっと延びるところがあるのだが、この中断と解放が聴きたいばっかりに、何度も繰り返しリピート再生している。 映画を見に…

仕事の帰りに髪を切って、帰ってからシャワーを浴びて髪も洗う。二階の窓を網戸にしてがらがら開けて、冷たい風が吹き抜けるなかを蒲団の上に転がって『攻撃される知識の歴史』を読んでいる。

スパゲッティを茹でて食べる。DVDで青山真治の『Helpless』を久しぶりに見る。二体の死体の間に秋彦を押し込んで、ポラロイドで「記念写真」を撮るシークェンスのことを、すっかり忘れていた。デイヴィッド・リンチの『ワイルド・アット・ハート』を見直した…

朝ゴミを出して飯を食ってから、シネ・リーブル梅田で青山真治の『ユリイカ』を見る。公開時には会社の机に横長のチラシを貼って、退職するまでずっとそのままにしていたぐらいなのに、映画館で見るのは初めて。 小学校の時の同級生(テストの答えを見せてや…

朝帰ってきて町内会の年に一度のドブ掃除。庭の木を伐ろうかと思うが、どうして伐ったらいいのか考えるため、家の前にじーっと立ち尽くして木を眺めるだけで終わる。 エレム・クリモフの『炎628』をBDで見る。物凄い。どのシークェンスの画面も音響も強烈な…

朝からBDでシドニー・ルメットの『狼たちの午後』を見る。こんなに奇妙で素晴らしいメロドラマだったのかと瞠目する。オペラのようだ。 兵庫県立美術館で「ミニマル/コンセプチュアル:ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術」展を見る。ダン…

「しま」の隣で寝るというのは床でうたた寝するのと同じなので、今朝は早く眼が覚めたが、あちこち身体が痛く、ぼんやりしていたので、結局どこにも出かけず、ずっと家の中にいて、溜め込んだHDの録画を見たり消去したりしながら過ごす。 乃木坂46の《Actual…

百貨店の化粧品売場のきつい匂いを、少し酔ってしまうのだが、それでも私は、とても好ましい香りだと思うらしいということが判った。子供の頃、百貨店で母親が買物をしているのを本を読みながら坐って待っていたのは、だいたい地下の食料品売場と一階の化粧…

もしかしたらジャズも聴けるようになってきたんじゃないかと思って、古本屋で安く売っていた『Flight to Denmark』を買ってきたのだが、ジャズではなくて、たまたま『残氓』が気に入っただけらしいというのが判った。

『カモンカモン』のホアキン・フェニックスなら「オペラ・ミュージック」と呼ぶであろうヴェルディの《レクイエム》をアバドとウィーン・フィルで聴きながら、この演奏と録音は本当に冒頭の音楽の始まりを見事に捕まえていると思いつつ、ニック・ワプリント…

ミューレの両刃剃刀を買ったので、朝は風呂で髭を剃った。ぞりぞりぞりと音がする。剃刀がちょっと重くて、ちょうどいい。

夕方から出かける。久しぶりに入った元町の古本屋でニック・ワプリントンの『Truth or Consequences』とか『映画理論集成』が安かったので買ってから、シネ・リーブル神戸でマイク・ミルズの『カモンカモン』を見る。撮影はロビー・ライアン。この映画もモノ…

気になって注文したテオドール・クルレンツィスとムジカエテルナのモーツァルトの《レクイエム》を引き取ってきた。モーツァルトは子供のときに大好きで、それからのめり込むことはないまま(カール・ベームとの相性の悪さのせいだと思っている)、ときどき…

夕方から出かけて神戸国際会館のキノシネマでジャック・オーディアールの『パリ13区』を見た。ちんこもまんこも元気な男と女がそれでも切なくなったり孤独を感じたり、タブレットやスマートフォンの画面を介して辛くなったり励まされたり、胸糞悪い中傷誹謗…

サイードの『知識人とは何か』を読んている。とてもいい。買ったのはずっと以前で、今更なのだが、ちょうど今読んで良かったと思う。

ほぼ毎晩アップされていたクォン・ウンビの《Glitch》は今日でカムバのTV出演が最後らしい。ウンビオンニのヴォーギング好きから触発されてマドンナの《ヴォーグ》のMVをこの頃よく見ているのだが、とても良くて、何度も見たあとに、ふと気になって調べたら…

洗濯物を干すと、「しま」がベランダについてくる。 午後から出かけて神戸文化ホールで神戸市室内管弦楽団の定期演奏会を聴く。指揮は音楽監督の鈴木秀美。ハイドンの《83番》がとても素晴らしかった。特に第2楽章の、音楽が満ち引きしてよく動きまわるさま…

狭いテーブルを挟んで、マリウポリの「解放」が終了したとショイグがプーチンに報告している映像を見る。カメラは真横から、しかし坐っている二人よりは少し高い位置で、テーブルの天板が斜めに見えるくらいのところから撮っている。マクロンと会ったときの…

Oギャラリーeyesで「スタンダードジャパンエディション2022」展を見る。力の入った個展を見たばかりなので中小路萌美の、先日の個展で示された場所よりおそらくひとつ前の場所で描かれた絵のすがすがしさに打たれるが、吉田祥と洪亜沙の作品にも眼を惹かれた…

マリウポリでロシア軍は虐殺の証拠を隠滅するため火葬用のトラックを13基稼働させているそうだ。荷台の奥にはジェットエンジンの噴射口のような、サンドワームの開口部のような洞が見える。この穴の中に「地元の協力者が集めて」きた犠牲者の遺体を投げ込ん…

クォン・ウンビの『Color』がとても素晴らしくて夜中ずっと聴いている。『OPEN』も素敵だったけれど、これはもっといい。《Glitch》がとてもいいのはもう知っていて、今はカムバだから毎晩韓国のあちこちの音楽番組に出るたびYouTubeで映像を漁っているが、…

昼前から出かけてシネ・リーブル神戸でレオス・カラックスの『アネット』を見る。そもそも馬の首を被っているみたいな主演俳優をそれほどいいと思えないので困ってしまうのだが、しかしキャロリーヌ・シャンプティエのカメラはとてもいいし、『ホーリー・モ…

昨日の夜は、3月6日のバレンシアガのショーを、ようやくネットで見て、それから眠った。朝起きてから思い出すと、記憶の中にある他の難民たちの逃避行のさまざまな映像とショウのそれが混濁している。ガラスの向こうの吹雪のせいでもうほとんどシルエットし…

昼前から出てOギャラリーeyesで中小路萌美展「かたちのいるところ」を見る。タッチから出発しているストロークが或る幅を持った線として現れているペイントが今回展示された作品の幾つかで、際立って迫り出していた。ドローイングでありペインティングである…

途中で電車が止まって焦ったがギリギリ間に合って神戸映画資料館でフレデリック・ワイズマンの『DV2』を見る。『DV』の最後の黄色の壁面の前にいた警官が『DV2』の冒頭にも出てきて、いかにも「2」という感じで嬉しくなる。『DV』では冒頭とラスト以外では、…